カフェ開業の資金と収支|実例3件で「1日何人で黒字か」を計算する

カフェ開業の数字(先に結論)
カフェ開業に「必要な金額」という一つの答えはありません。 実際の開業計画を並べると、融資額は 368 万円から 3,000 万円まで、月の固定費は 8.9 万円から 943 万円まで開きます。固定費で 106 倍、損益分岐点で約 98 倍の差です。
意味のある問いは「いくら必要か」ではなく「自分が想定する客単価なら、1 日に何人来れば黒字になるか」です。
実際の開業計画 3 件の数字
| 間借り型 | 20 席・住宅街 | 商業施設内 | |
|---|---|---|---|
| 元になった計画 | 融資 368 万円 | 融資 597 万円 | 融資 3,000 万円 |
| 席数 | イートイン最小 | 20 席 | 施設内区画 |
| 月額家賃 | 0 円(間借り) | 21 万円 | 約 181〜202 万円 |
| 人件費 | 0 円(オーナー 1 名) | 22 万円 | 362 万円 |
| 月の固定費 | 8.9 万円 | 70 万円 | 943 万円 |
| 限界利益率 | 63% | 70% | 68% |
| 損益分岐点の月商 | 約 14 万円 | 約 100 万円 | 約 1,400 万円 |
差を作っているのは店の広さではなく、家賃と人件費です。 一番左は場所を間借りして家賃をゼロにし、オーナー 1 人で回す設計なので、月商 14 万円で赤字を回避できます。一番右は商業施設内で家賃 202 万円・人件費 362 万円を抱えるため、毎月 1,400 万円を売り続けないと成立しません。
20 席のカフェは、1 日何人で黒字になるか
カフェは客単価の幅が大きい業態です。 コーヒー中心なら 1,000 円前後、フードやデザートを組めば 2,000 円台になります。そして必要な売上は同じでも、必要な客数は客単価で変わります。
以下は上の表の中央、20 席・住宅街・固定費 70 万円・限界利益率 70% の店で、客単価だけを変えた場合の必要客数です(月 26 日営業)。
| 客単価 | 1 人あたり粗利 | 損益分岐点の月商 | 1 日あたり必要客数 | 必要回転数 |
|---|---|---|---|---|
| 1,000 円 | 700 円 | 約 100 万円 | 1 日 約 38 人 | 1.9 回転 |
| 1,300 円 | 910 円 | 約 100 万円 | 1 日 約 30 人 | 1.5 回転 |
| 1,500 円 | 1,050 円 | 約 100 万円 | 1 日 約 26 人 | 1.3 回転 |
| 2,000 円 | 1,400 円 | 約 100 万円 | 1 日 約 19 人 | 1.0 回転 |
必要売上は 4 通りとも約 100 万円で同じなのに、必要客数は 38 人と 19 人で 2 倍ちがいます。 客単価 1,000 円で 20 席の店に 1 日 38 人を集めるのは、1.9 回転を毎日続けることを意味します。カフェは滞在時間が長い業態なので、この回転数は立地とオペレーションを相当に選びます。
つまりカフェ開業で最初に決めるべきは、席数や物件ではなく客単価です。客単価が決まらないと、必要客数も、必要な回転数も、耐えられる家賃も決まりません。
計算過程(20 席・客単価 1,500 円の場合)
[前提]
客単価 1,500 円
原価率 30% → 粗利率 70% → 1 人あたり粗利 1,050 円
席数 20
人件費 22 万円(アルバイト分)
家賃 21 万円
水道光熱費 6 万円
その他経費 21 万円(広告・消耗品・通信費等)
────────────────────────
固定費合計 70 万円 / 月
[赤字ライン(会計上)]
必要売上 = 70 万円 ÷ 0.70 = 約 100 万円 / 月
必要客数 = 70 万円 ÷ 1,050 円 = 約 667 人 / 月
667 人 ÷ 営業 26 日 = 1 日 約 26 人
26 人 ÷ 20 席 = 約 1.3 回転
[借入返済まで賄うライン(資金繰り上)]
固定費 + 返済 4.5 万円 = 74.5 万円 / 月
必要売上 = 74.5 万円 ÷ 0.70 = 約 106 万円 / 月
元金の返済は会計上の費用ではありませんが、現金は出ていきます。 「黒字なのに資金が減る」を避けるには、100 万円ではなく返済込みの 106 万円を目標に置いてください。
自分の店の数字で計算する
1 日あたり必要客数 = (家賃 + 人件費 + 水道光熱費 + 借入返済 + その他固定費)
÷ (客単価 × 粗利率)
÷ 月間営業日数
置き換えるときに効くのは次の 2 つです。
- 家賃を 5 万円上げると、必要客数は増えます。 客単価 1,500 円・粗利率 70% の店なら 1 日あたり約 2 人、客単価 1,000 円なら約 3 人です。同じ家賃差でも、客単価が低い店ほど重くのしかかります
- オーナー自身の生活費は、上の固定費に入っていません。 月 20 万円取るなら、客単価 1,500 円の店で 1 日あたり約 7 人を上に積む必要があります
この数字の限界(そのまま自分の店に当てはめないでください)
- 母集団は 3 件で、カフェの平均ではありません。 実際に融資が実行された個別の開業計画であり、統計値として扱えるサンプル数ではありません
- いずれも計画値で、決算の実績値ではありません。 開業前に立てた見込みです
- 客単価別の表は、客単価以外の条件(固定費 70 万円・原価率 30%・20 席・26 日営業)を固定した計算です。 客単価を上げれば通常は原価率も動くため、実際には両方を自分の想定で置き換えてください
- 間借り型(家賃 0 円)は特殊な条件です。 場所を提供してもらえる関係が前提であり、一般に再現できる前提ではありません
- 固定費にオーナー自身の生活費を含んでいません。 取る額の分だけ必要客数が増えます
- 営業日数を 26 日で計算しています。 週休 2 日(月 22 日)にすると 1 日あたり必要客数は約 2 割増えます
依頼主の不安が準備の段階で自信に変わった話
こんにちは。 REDISHで開業サポートを担当しているYです。 カフェ開業を考えるとき、誰もが一度は抱える不安があります。 「本当にお店は儲かるのだろうか…?」 「融資は通るのだろうか…?」 「物件選びで失敗したらどうしよう…?」
こうした不安は、経験や勘だけで進めるとどうしても解消されません。しかし、数字や具体例を整理するだけで、意外とすっきりと見えてくる部分があります。 本記事では、実際の事業計画書や月次収支表をもとに、開業前に押さえておきたいポイントや、準備の順序・考え方を詳しく解説します。
- 資金はどのくらい必要なのか?
- 融資はどう通すのか?
- 家賃や席数はどのくらいが適正か?
- 売上や利益をどう計画すれば現実的か?
こうした疑問に対して、具体的な数字と実例を交えて解説していきますので、「何から準備すればいいか分からない…」という方にも参考になる内容です。
さらに、売上や融資額、資金配分など、より踏み込んだ具体例については、こちらのコラムで詳しくご紹介しています。
実際にフレンチ経験を活かしてカフェ開業を成功させた事業計画の物語を、数字とともに追体験できる内容です。 【創業融資597万円】フレンチ経験を活かし、カフェ開業を成功させた事業計画の物語 👉 【創業融資597万円】フレンチ経験を活かし、カフェ開業を成功させた事業計画の物語
開業前の依頼主が抱えていた不安
実際にREDISHでサポートを受けた依頼主の声をもとに、開業前に多くの方が抱える悩みを整理しました。 開業の不安は、「経験が足りないから」「数字が分からないから」という心理的な要素が大きく影響します。ここでは、実際に数字や具体例を用いて解決できたポイントをご紹介します。
①資金面の不安
- 初期投資はどのくらい必要?
- 自己資金だけで足りる?
- 借入金の返済は本当に大丈夫?
数字で見ると…
・総額747万円(自己資金150万+融資597万) ・月次利益は33.5万円見込み
依頼主の多くは「お金の流れが見えない」と不安を抱えていました。しかし、必要資金や月次収支を整理して可視化するだけで、返済計画や利益の見込みが明確になり、精神的にも安心感が生まれます。さらに、「これだけ準備すれば大丈夫」という具体的な数字があることで、行動に移す自信にもつながりました。
②立地選定の悩み
- 駅前にするか、住宅街にするか?
- 家賃が高すぎないか?
数字で見ると…
・家賃:21万円/月 ・席数:20席 ・ターゲット層:30代を中心とした住宅街の住民
家賃や集客のバランスを可視化することで、「この立地で利益が出せるのか」「自分の戦略に合うか」が判断できるようになります。依頼主の中には、駅前よりも家賃を抑えた住宅街の物件を選び、SNSやポスティングで集客する戦略に切り替えた方もいます。こうした具体的な数字と戦略の組み合わせで、不安は大きく軽減されました。
③収支の見通し
- 客単価はどのくらい必要?
- 原価や人件費はどう計算すれば良い?
数字で見ると…
・客単価:ランチ1,500円/ディナー3,000円 ・原価率:約30% ・人件費:22万円
月次収支を試算することで、「どのくらいの集客が必要か」「どこを削減すれば黒字化できるか」が一目で分かります。依頼主は当初「集客が安定しないと利益が出ない」と悩んでいましたが、売上や原価を数字で整理することで、無理のない計画が立てられるようになりました。
④融資審査の不安
- どのように説明すれば信用してもらえる?
- 競合が多いと不利になる?
数字で見ると…
・ターゲット・競合・原価・リピート戦略を具体的に数字化 ・審査官に「この店は潰れずに成長できる」と納得してもらう
融資面談では、単に「経験があります」と伝えるだけでは不十分です。依頼主は、自分の強みを数字と戦略で裏付けることで、審査官から「この人なら確実に利益を出せる」と評価され、スムーズに融資を受けることができました。
不安の解消法:数字で具体化する
開業前の不安は、数字や具体例を整理することで大きく解消されます。 REDISHで実際にサポートした事例をもとに、どのように準備すれば安心して開業できるのかを解説します。
- 資金面:必要資金を内訳ごとに整理 内装工事:135万円 / 厨房設備:76万円 / 備品:10万円 / 商品仕入れ:62万円 / 予備費:54万円 → ポイント:項目ごとに数字を明確にすることで、借入や自己資金の配分が見え、無駄な支出を防げます。
- 立地選定:家賃・ターゲット・人通りを整理 → 無理のない物件を選定 → ポイント:駅前か住宅街か、ターゲット層は誰か、家賃とのバランスはどうか。数字と条件を可視化すると、自分に合った勝てる立地が見えてきます。
- 収支シミュレーション:売上・原価・人件費・家賃・経費・返済を月次で試算 → ポイント:月ごとの利益や損益を具体的に計算することで、「黒字化の目安」や「改善すべきポイント」が一目で分かります。
- 融資面談:競合との差別化やターゲット設定を数字で提示し、説得力を高める → ポイント:経験や強みだけでなく、ターゲット・売上予測・リピート戦略などを具体的な数字で示すことで、審査官に「この店なら潰れずに成長できる」と納得してもらえます。
ケーススタディ:事業計画書例
REDISHでサポートした実際の事例をもとに、どのように開業準備を進め、数字を整理して安心につなげたかをご紹介します。
事業概要
カフェ(ホットサンド・デザート・スペシャリティコーヒー)、席数20 → ポイント:看板メニューを明確にすることで、仕入れやオペレーションを最小限に抑えつつ、客単価を最大化。
立地条件
住宅街、30代を中心にターゲット、SNSとポスティングで集客 → ポイント:人通りが少ない住宅街でも、ターゲットに合わせた集客施策(SNS発信・ポスティング)で「指名来店」を作り、駅前よりも家賃を抑えつつ利益率を確保。
初期投資
内装135万、厨房76万、備品10万、仕入れ62万 → ポイント:必要な設備・備品に絞り、初期費用を抑制。利益を出しながら少しずつ店を育てる戦略。
月次収支
売上154万、原価46万、人件費22万、家賃21万 → 利益33.5万 → ポイント:客単価・回転率・原価率をもとに具体的に計算。数字をもとに改善点を事前に把握できるため、開業後の安心感が増す。
融資評価ポイント
経験の裏付け・収支計画の妥当性・差別化戦略 → ポイント:フレンチ経験を活かした独自メニュー、住宅街のニーズに合わせたターゲティング、収支計画の具体性が評価され、スムーズに融資を獲得。
このケースでは、数字を可視化し、戦略を明確化することで「やるべきこと」と「優先順位」が整理され、依頼主の不安は大きく減少しました。
依頼主の声
「最初は融資が通るか不安でしたが、数字で整理したことで納得感が生まれました。どの順番で何を準備すればいいかも見えて、自分でも計画が立てられるようになりました」
「SNS・ポスティング・ポイントカード戦略の具体策も数字で示したら、審査官に評価されました。実際に行動するイメージが持てたことで、自信を持って面談に臨めました」
依頼主の多くは、最初は「何から手を付ければいいか分からない」という状態でした。しかし、 数字と具体例を整理して計画を可視化することで、不安は「やるべきことが明確になった」という自信に変わります。 小さくても一つずつ準備を積み上げることが、開業成功への第一歩につながるのです。
まとめ
開業前の不安は、数字と事例で可視化することで解消されます。
- 「強み」「立地」「収支」「融資」の4つを戦略的に整理する
- 小さくても着実に利益を出せる計画を作る
- 具体的な数字をもとに説明できる準備が、開業後の安心感につながる
夢を形にするためには、準備の丁寧さと数字に基づく戦略が何より大切です。 もし「自分も同じように開業準備を進めてみたい」「今の状況で相談できるか聞きたい」と思った方は、ぜひお気軽にご相談ください。 REDISHでは、開業前の資金計画や融資対策、集客戦略まで、一人ひとりに合わせたサポートを提供しています。











