飲食店の税理士費用の相場はいくらですか?

飲食店の税理士費用の相場

結論 小規模な飲食店で記帳代行・月次顧問・確定申告まで依頼する場合、月額3〜5万円決算・確定申告料5〜15万円程度がよく言われる相場です。店舗規模・仕訳量・雇用の有無で上下します。金額だけを並べても比較できないため、この記事では何が含まれると高くなり、何を減らすと安くなるのかという内訳から説明します。

より一般的な(業種を問わない)解説は 税理士に頼むといくらかかる? にあります。本記事は飲食店に絞ります。

なぜ相場は「幅」でしか示せないのか

同じ「月次顧問」でも、事務所が実際に負担する作業量は店ごとに何倍も違います。飲食店で特に効くのは次の3つです。

  • 仕訳の本数。1件あたりの金額は小さいのに件数が多く、事務所側の工数は件数に比例します
  • 決済手段の数。現金・クレジット・QR・電子マネーと増えるほど、入金明細と売上の突合が増えます
  • 紙の量。まとめ請求ではなく、都度の納品書・領収書が積み上がる仕入先が多いほど手作業が残ります

つまり、見積もりの金額は「店の規模」ではなく「書類と取引の件数」で決まります。席数が同じでも、テイクアウト比率やデリバリー導入の有無で見積もりが変わるのはこのためです。

依頼範囲別の目安

依頼内容相場の目安何が含まれるか
記帳代行のみ月1〜3万円領収書・請求書の仕訳、試算表の作成
月次顧問+記帳月3〜5万円上記+月次の面談・相談・数字の説明
決算・確定申告5〜15万円年1回の決算書と申告書の作成・提出
年末調整・法定調書数万円〜(人数で変動)従業員の年末調整、関連書類の提出
税務調査の立ち会い別途(日当制が多い)調査当日の対応、事前・事後のやりとり

月額と決算料は別建てが一般的です。「月3万円」と聞いたら、年間では月額36万円+決算料という前提で総額を比べてください。

見積もりが上下する5つの要因

  1. 月の仕訳件数(領収書・請求書・入金明細の合計。多いほど上がる)
  2. 決済手段の数(3種類を超えたあたりから突合の手間が目に見えて増える)
  3. 店舗数(2店舗目以降は店別の損益を出すかどうかで変わる)
  4. 雇用の有無と人数(給与計算・年末調整の対象者が増えると上がる)
  5. 記帳の方法(クラウド会計と POS が連携済みか、紙の受け渡しか)

このうち5番目は、店側の運用を変えるだけで下げられる余地があります。連携と写真送付の運用に切り替えるだけで、同じ事務所でも見積もりが変わることがあります。

「安い」「高い」の読み方

相場より安い場合、次のいずれかであることが多くなります。良い悪いではなく、条件の違いです。

  • 記帳の枚数に上限がある(超過分は追加料金)
  • 月次の面談がなく、年1回の申告のみ
  • 業種を問わない標準的な対応で、飲食特有の論点は範囲外
  • 税務調査の対応が別料金

相場より高い場合は、多店舗・法人・調査対応込み・組織再編や資金調達の相談を含む、といった理由が考えられます。安さだけで選ばず、含まれる範囲との比で判断してください。

見積書で確認する6項目

  • 月額に含まれる記帳の枚数(上限と超過時の単価)
  • 月次面談の有無・回数・形式(訪問/オンライン)
  • 決算・申告料が別か込みか(別なら概算額)
  • 年末調整・法定調書など季節業務の扱い
  • 税務調査に立ち会う場合の費用
  • 資料の受け渡し方法と締め切り日(いつ渡すと、いつ試算表が出るか)

この6項目を同じフォーマットで各社に聞くと、金額の比較が成立します。項目をそろえずに総額だけを比べると、あとから追加料金で逆転することがあります。

自分で申告する場合のコスト

会計ソフトで自分で入力すれば、支払う金額は下がります。判断するときは、次の2つを合わせて見てください。

  • 時間。入力と突合に週2時間かかるなら月に約8時間。その時間を仕込み・採用・接客に戻したときの効果と比べます
  • やり直しのコスト。区分の誤りや入力漏れが積み上がると、後から税理士に依頼したときに整理費用が別途かかることがあります

飲食業は黒字の企業がおよそ 35.7% という統計もある業種です(約7割が赤字…飲食店の現実)。原価率30%・人件費率30%前後という FL の目安に対して自店がどこにいるかを、毎月見られる状態にいくら払うかという見方をすると判断しやすくなります。

支払いのタイミング

  • 月額(顧問料・記帳代行料):毎月一定
  • 決算料:決算月の後にまとめて発生(月額の3〜6か月分程度を目安に案内されることが多い)
  • スポット:年末調整、調査立ち会い、融資資料の作成など

決算料は年に1回まとまって出ていくため、月額と決算料を12か月に均して比較すると、実際の負担が見えます。

顧問料以外にかかる費用

見積書の金額だけを比べると抜けやすいのが、周辺の費用です。総額で比べるときは次も足してください。

  • 会計ソフトの利用料(事務所側が用意する場合と、店側で契約する場合がある)
  • 電子帳簿・書類保存に必要なツールの費用
  • 郵送費・振込手数料(紙の受け渡しが残る場合、毎月発生する)
  • 給与計算の人数課金(従業員数に応じて増えるプランがある)

金額としては大きくありませんが、紙のやりとりを前提にした運用は、料金表に出てこない時間コストが毎月かかります。見積もりを比べるときは、運用の形まで含めて確認してください。

相見積もりの取り方

3社ほどに声をかける場合、同じ前提を書いた1枚のメモを用意して同じ内容で聞くと、比較が成立します。伝える内容は次の6つで足ります。

  1. 業態と席数(例:居酒屋・20席・ランチ営業あり)
  2. 個人か法人か、決算月
  3. 月商のおおよその規模
  4. 従業員数(社員・アルバイトの内訳)
  5. 使っている POS・決済手段・会計ソフトの名称
  6. 依頼したい範囲(記帳のみ/月次顧問まで/申告まで)

これを伝えずに「いくらですか」と聞くと、各社が別々の前提で答えるため、金額だけが独り歩きします。同じ前提で聞けば、金額差の理由がそのまま各社の特徴になります。

料金が改定されるとき

契約後に金額が変わる主なきっかけは次の3つです。あらかじめ想定しておくと、改定の連絡を受けたときに納得して判断できます。

  • 取引量が増えた(席数の増加、デリバリー導入、決済手段の追加)
  • 雇用が増えた(給与計算・年末調整の対象者が増える)
  • 店舗が増えた(店別の損益を出すかどうかで作業量が変わる)

いずれも「事務所の都合」ではなく作業量の変化です。逆に、紙のやりとりを連携に切り替えるなど作業量を減らす提案は店側から出すこともできます

開業前に見積もりを取る場合

開業前は取引実績がないため、見積もりは計画値ベースになります。開業月から顧問契約を始めるか、申告の時期だけスポットで頼むかで総額が変わるため、次を確認してください。

  • 開業月から月額が発生するのか、売上が立ってからか
  • 創業計画書の作成支援が料金に含まれるか、別料金か
  • 開業前後の届出(青色申告の届出など)の代行が含まれるか

開業時の資金計画は 開業支援、審査の論点は 開業融資が通らない理由 を参照してください。

REDISH 税務の料金

REDISH 税務は月額 1 万円〜(税別)、着手金なし。記帳代行・月次決算・LINE 相談を基本プランに含み、POS・ネットバンキング連携で記帳を自動化しています。他社比較表・プラン詳細は REDISH 税務 を正本としてください。

よくある質問

飲食店の税理士費用は月いくらですか?

月次顧問+記帳で月3〜5万円が目安です。記帳代行のみなら月1〜3万円程度で、いずれも仕訳件数と依頼範囲で変わります。

記帳代行だけを頼むこともできますか?

できます。申告は自分で行い、日々の入力だけを任せる形です。ただし申告時の相談や調査対応は範囲外になることが多いため、契約前に確認してください。

決算料はいつ、どのくらい必要ですか?

決算月の後に発生し、5〜15万円程度が目安です。月額の数か月分として案内されることもあります。個人か法人か、店舗数によって変わります。

法人にすると費用は変わりますか?

一般に法人のほうが高くなります。決算・申告の手続きが増え、役員報酬や社会保険などの論点も加わるためです。個別の見積もりが必要になります。

途中で事務所を変えると費用はかかりますか?

引き継ぎ自体に費用がかかることは多くありませんが、期の途中だと帳簿の整理費用が発生する場合があります。切り替えは決算・申告が終わった直後が最も負担が軽くなります。

記帳を自分でやれば顧問料は下がりますか?

下がることが多くなります。ただし、入力の精度が低いと事務所側で修正が発生し、結果として想定より下がらない場合があります。「自分で入力し、確認と申告だけ任せる」形にするなら、入力ルールを最初にすり合わせておくと安定します。

安い事務所と高い事務所、どちらを選ぶべきですか?

金額ではなく「含まれる範囲 ÷ 金額」で比べてください。判断軸は 飲食店に強い税理士を選ぶポイント、依頼する価値の整理は 税理士に依頼するメリット にまとめています。